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2007年03月31日

もうひとつの別れ (あるいは昔の話)

先日、卒業式のお祝いムードに隠れるように、博士課程の学生がひとり、退学して研究室を去って行きました。
3年ちょっといたけれども、学位をとることができなかった。昨年から体調を崩して手術をし、投稿していた論文も博士論文も手がつけられない。良くなるまでにはこの先も時間がかかる。私にとっても本当に残念な断念でした。

3年前、彼女は私たちの大学の、私たちの専攻とはかなり分野が違う専攻の修士課程を出ました。私たちの専攻の博士課程への進学を希望し受験したとき、私たちの専攻の先生方の何人かは強く反対しました。「全く専攻が違う」。しかしその時私はその反対理由が理解できませんでした。私たちの分野では、例えば電子工学を出て心理学に進み、認知心理学の大家(というより怪物)になった Donald Norman など、異なる分野出身の優秀な研究者がたくさんいます。 「統計も実験計画も人間工学もわからない。Norman も Gibson も読んだ事がない。認知も記憶も説明できない。だから不合格」というならともかく、「修士の専攻が違うから不合格」とは、私にはとても説明できなかった。だから私は引き下がらなかった。その結果、多くの先生方の反感(というか怒り)を買いながら、私は彼女を引き受けたのでした。

あれから3年経って、私は当時その先生方が何を懸念していたか、大変よくわかりました。異なる分野の研究を始め、しかもいきなり学術雑誌に投稿するレベルの研究を要求される。彼女は大変苦労したと思います。私も正直言って苦労しました。同じ専攻の修士から進学する場合と違って、修士論文を1本目の論文にすることもできない。ゼロからのスタートです。つらい思いをしたでしょう。でもやはり、私はあの時彼女を引き受けたという判断は間違っていなかったと今でも信じています。もちろん同じ分野出身の学生に比べて苦労はするかも知れない。でも専門が違うというだけでは拒否できない。努力する覚悟があれば、最初に時間がかかったっていいじゃないか。専門が違う事で、まったく新しい視点を、発想を、持って来てくれるかも知れない。事実彼女はとてもよく勉強したと思います。そして、国際会議で発表した彼女の研究は、かなり注目され、彼女は一気に国際的な研究者ネットワークを広げる事ができたようです。

私が彼女を「強引に」合格にしてから、私たちの専攻では、博士課程の入学試験に採点制度ができました。希望指導教員以外の3名の教員が採点し、点数をもって合否を決める。私は大変良い事だと思います。少なくとも「あなたは出身の専攻が違うから不合格です。」という説明をしなくて済む。

まあしかし、あれもこれも「昔の話」です。私はただ、彼女のこれからの人生が、他の卒業生と同様に実り多きものであること、私たちの研究室での3年ちょっとが、少しでも彼女の人生のためになってくれること、そして彼女が健康になってくれることを、祈るばかりです。

sakura

投稿者 umemuro : 01:00 | コメント (4) | トラックバック

2007年03月29日

プレゼント

今年の謝恩会は、アメリカから帰国した翌日だったからか、なんかフラフラになってしまって、2次会も途中退場。
しかし、6年前の謝恩会は成田から直接駆けつけて平気で飲んでいたもんなぁ。
やっぱりこれが歳を取るというものでしょうか。今度 aging の教科書でも書く機会があったら書いておきましょう。

さて、そんなわけで謝恩会以降体調絶不調な日が数日続いて、ようやく恒例の謝恩会の贈り物の話です。
毎年すごいと思うけど、今年もすごい。しかも、最近いろんな店(ネット上の)でチラチラ見ていて、気になっていた(しかも値段を見て二の足を踏んでいた)ものだけに、ちょっと感動しました。

Metaphyshono

もう何も言う事はありません。基本的に電灯です。でも、光がゆらゆらとゆれるんです。本当にリアルに。しかも息を吹きかけると消える!点ける時はマッチで擦る。もう、すごいです。これを考えた人と、これを今年のプレゼントに選んだ人を賞賛します。

帰ってさっそくベッドサイドテーブルに置いてみました。
なんかねえ、独りで見ているのがもったいないですね。
でも昼間オフィスで見ていても趣きが半減どころか1/10くらいだし。

というわけで、今年も感動させてもらいました。卒業生のみんな、ほんとうにありがとう。「うる星やつらDVDボックス」じゃなくて本当によかった。(そんなの本当にあるのか?)

hono hono
hono

投稿者 umemuro : 23:12 | コメント (0) | トラックバック

2007年03月03日

Google Gene?

先日、私たちの大学で開かれたシンポジウムに、Google Japan の村上社長が来て講演して下さった。

一時間弱の講演と、Q&A。時間が限られているので、さすがに「主催者側」から質問してはいけないと様子を見ていた。
実業界からの出席者の質問が多かったからか、「現在の」Google のサービスの内容や使い勝手、検索結果の有効性などについての質問に終始したように思える。
しかし、私はその日の村上社長の講演を聴いていて、聞きたい事は全然違うところにあった。

村上社長によれば、Google のミッションは「地球上の全ての情報を整理し、全てのユーザがアクセス可能(accessible)にして、利用できる(usable)ようにすること」。私は Google のホームページを覗く機会はあまりなかったので、このミッションは初めて聞いたが、ちょっとした戦慄が走った。

Google の言う「情報」の範囲とは何か?

Google Earth の登場は衝撃的だった。もちろんあの、地球全図から一気に建物レベルまでズームインできる素晴らしいインターフェースの秀逸性ももちろんだが、もっと衝撃的なのは「自分の家がいつのまにかインターネットで自由に検索できるようになっていた事」だった。

村上社長に聞きたかったのは、「Google にとって、例えば私は情報ですか?」ということ。例えば、私が今朝何時に家を出てどこを歩いて大学へ来たか、これまでどんな病気をしたか、あるいは私の遺伝子は?

もちろん、村上社長は「いや、個人情報については…」という答えをするだろう。実は答えは十分予想が出来る。Google Earth の衛星写真は、屋外に公に設置されている建造物のものだから、ということもできるだろう。でもその理屈から言えば、公の道を歩いている私を衛星で撮影して、動画を日時とともに記録してそれを解析して行動情報にして、インデックス化して検索可能にする事だって OK のはずだ。

Google が目指すものが地球上の全ての情報の index 化なのであれば、20年もしないうちに Google Gene が登場するのは必然のように思える。

投稿者 umemuro : 01:18 | コメント (0) | トラックバック

2007年03月01日

イベリコ豚

先日の修論発表の打ち上げで、中華レストランに行ったはずなのに、なぜかメニューにイベリコ豚が。
で、今年のM2にはスペイン人がいるので、ひとしきりイベリコ豚で話が盛り上がったので、このコラムを思い出しました。
前編・後編の構成になっているので、面倒でも続けて読むことを*強く*お薦めします。

「イベリコブタ」 http://www.asahi.com/health/medicalasahi/TKY200701290117.html
「イベリコ豚delicious study」 http://www.asahi.com/health/medicalasahi/TKY200702050130.html

仕事柄、後編の結末は大笑いしてしまいました。

投稿者 umemuro : 01:05 | コメント (0) | トラックバック