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2004年08月28日
批判せよ
前回に引き続き、今日は学部の授業の話を。
私の学部の授業「工業心理学」では、期末試験の最後の問題として必ず「今年度の工業心理学の授業を批判せよ」という問題を出題します。この授業では過去に提案された古典的な理論(認知主義)とそれに対する批判が柱になりますが、将来を担う科学者・エンジニアの卵として、常に批判する眼を持ち続ける事、優れた批判は優れた意見と同じくらい価値を持ち得る事、を日頃繰り返し伝えて来たと思っています。
実際今年度の試験を採点しても、「いい成績をとるためにお世辞を使おう」的な回答は皆無かせいぜい一人くらい。ほとんど全ての学生が実に忌憚の無い手厳しい意見を述べてくれています。この辺りは本学学生の質の高さというか信頼できる所だなと思います。で、採点している間は「あいたたたた...」と耳が、というより胸が痛い状態が続くのですが、逆に言えばそれは彼らの指摘が的を得ている証拠。特に今期初めて行った取り組みに対する批判は、本当に貴重な得難いフィードバックです。彼らの意見が信頼できるからこそ、この問題を毎年出す意味があるし、もちろん的を得ている批判には全て満点をあげています。
ただ、一点だけ彼らの批判に反論したい事があります。私の授業では英語の教科書を使っていますが、英語の教科書を読んで予習する様に指示する事、授業中でも英語の用語を使うことに対する批判が少なからず見受けられます。私の反論はこうです。
1. 日本語で知識を覚えても、日本人と会話をする時にしか通用しない。世界の人と話そうとすると用語を最初から覚え直さないと学んだ知識が全く役に立たない恐れがある(私の経験から)。ベストはもちろん日本語と英語と両方をペアにして覚えること。
2. 「英語だと量を読むのが大変だ」「英語だと意味合いがピンと来ない」等と言っていて、これからの未来どうやって生きて行くつもりなのか。もう今の学生諸君の世代は英語は話せてあたりまえ、語学ならもう一カ国語くらいできないと競争力にならない時代にこれから生きなくてはならないのだから。
3. 毎回読んでいる量だって、同じ教科書を使っているアメリカの(必ずしも超一流ではない)大学の学部生が毎時間読んでいる量の1/5〜1/10。もしも将来MBAやロースクール、Ph.D. に留学しようという人が居たら、とても将来のクラスメートに太刀打ちできない。
というわけで、次学期からも同じ教科書を使って同じ reading asignment は使っていくでしょう。でも一方で、彼らのここ数年の批判を受けて、授業のやり方はガラッと変えるつもりです。いろいろ企んでいる事もあるし。この授業は始まって以来学生諸君の授業評価では結構いい点数をマークして来ましたが、リニューアル後も高評価をマークできるか。楽しみです。

投稿者 umemuro : 2004年08月28日 21:53