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2004年08月14日
Normal Accidents
今回の福井の原発事故で、今まで繰り返し言われて来た事だけど、改めて思うこと。
どんな技術にも「完全な技術」「絶対の安全」はありえない、ということ。
そして、(それが圧倒的多数なんだけど)技術の操作や運用に人間が関わっていればなおさら。
今回は、配管のメンテナンススケジュールの入力ミスが、耐用年数を超えた疲弊した配管の継続利用、そして事故につながったと報道されている。そして、その事実を発見していながら近い将来の定期点検まで放置する事にした電力会社の意思決定。原発と言うと、チェルノブイリやスリーマイルアイランドの惨事を起こした管制室のヒューマンエラーがとかくクローズアップされるが、管制室の外の、こんな「普通の」運用でのヒューマンエラーが、何人もが死亡する事故につながる。ヒューマンエラーの予防には様々な対策が講じられているが、技術が巨大になるほど、それに関わる人間の活動の数も無数に増加する。すべての事故の原因を潰す事が困難になる。
Charles Perrow の著書に "Normal Accidents" という本がある(ISBN:0691004129)。「事故は起こるのが普通である」という発想。巨大技術といやおうなく共存する私たちにとって必要なのはこの考え方なのだろう。
目の前にある機械や設備は慎重に設計され、建造されたものかもしれない(もちろんその段階でのエラーも否定できないけど)。しかし、それらは同時に多くの人間のオペレーションやメンテナンス活動によって現在動いている。事故の確率はゼロにはならない。その前提で私たちに何ができるのか。防止。起こってしまった後の対処。あるいは技術利用そのものの停止。巨大技術との共存が続く限り、この問いかけは続く。
(こういう問題に興味のある人は James Reason の "Human Error" (ISBN: 0521314194) と "Managing the Risks of Organizational Accidents" (ISBN: 1840141050) も読んでみて下さい。それぞれ「ヒューマンエラー」(ISBN:4303729809) と「組織事故」( ISBN: 481719099X) が日本語訳だと思いますが、未確認。なお、原著の "Human Error" は和訳(?)が出た後の 1999 年に改訂版が出ています。)
投稿者 umemuro : 2004年08月14日 13:14
